
子どもの近視進行を抑える初の治療薬「リジュセアミニ点眼液」承認
日本で初めて子どもの近視進行を抑える治療薬が承認されました。「リジュセアミニ点眼液」の登場についてお話します。
近視の子どもが増えている!?

近年、近視による子どもの視力低下が増えており、社会問題になりつつあります。
令和5年度の文部科学省学校保健統計調査によれば、日本における裸眼視力1.0未満の子どもの割合は、小学生の37.8%、中学生の60.9%、高校生の67.8%を占めていました。
最近の研究から近視は、軽度であっても、大人になってから緑内障や網膜剥離などの目の病気にかかるリスクを高めることが分かっています。これから長い人生を生きる子どもたちの目の健康を、生涯にわたって良好に保てるように子どものころから近視を発症させない、近視になっても進行させないための取り組みが大変重要です。
近視はどうして起こるのか
近視の発症には遺伝的要因と環境要因の両方が関与すると考えられています。特に、近年の近視の増加は環境要因が大きく関与していると言われ、子どもの外遊びの減少やスマホやタブレットの普及によって、近くを見る作業時間が増加したことが主な原因と言われています。
近視になるとどうして見えにくくなるのか
近視の多くは、眼球が前後方向に伸びて、目の中に入った光線のピントが合う位置が、網膜より前になっている状態です。そのため近視になると、近くのものははっきり見えますが、遠くのものがぼやけて見えます。また、眼球は体が成長する時期に伸びることが知られており、特に小児期の低年齢の頃に早く伸びる可能性があります。個人差はありますが、近視になる年齢が早いほど、近視の度合いが強くなることが知られています。子どもたちが生涯にわたり、良好な視力を維持するためには、小児期に近視の発症と進行を予防することが大切です。
学校検診などで視力低下や近視を指摘された場合には、早めに眼科を受診しましょう。
眼科では目の状態や近視が進行しているか、近視以外の病気がないか、など詳しく検査をしていきます。近視と診断されたら、まずは近視の進行予防のための生活習慣の改善などを紹介します。屋外で過ごす時間を増やすこと、スマホやタブレットなど近くを見る時間が長くならないように心がけることも大切です。
ある程度近視が進んでいる場合は、メガネやコンタクトレンズによる矯正をします。メガネをかけると近視が進むということはありません。そのため、定期的に検査をして目に合ったメガネをかけるようにしましょう。
近視の進行を抑える治療について
日本では近視進行抑制治療として厚生労働省が国内で初めて承認した点眼剤「リジュセア®ミニ点眼液 0.025%」(参天製薬)が、いよいよ2025年4月から販売されます。この薬剤は低濃度のアトロピンを成分にしており、世界的に最も広く行われている治療法です。 もともと、1%のアトロピン点眼(通常の濃度)は、小児の斜視や弱視の診断や治療に長く使われてきました。この「リジュセア®ミニ点眼液 0.025%」の国内臨床試験で、点眼を行わない場合と比べて、近視進行を抑制する効果があることがわかりました。 通常、就寝前に1日1回、両眼に1滴ずつ点眼して使用します。主に小児を対象としていることから、安全性を考慮して防腐剤は含まれておらず1回使い切りタイプの点眼です。
「リジュセア®ミニ点眼液 0.025%」は保険診療ではなく自由診療での取り扱いになりますので詳しくは担当医までご相談ください。
※近日一般向け近視進行抑制治療サイトを立ち上げ予定です。