瞼に「塗る」アレルギー性結膜炎治療薬が登場:目のかゆみに1日1回
今回は目のアレルギーに目薬ではなく瞼に塗る軟膏治療薬の紹介です。
アレルギー性結膜炎の特徴
アレルギー性結膜炎は、アレルギー反応によって目のかゆみや充血が起こる疾患です。
主な症状には目のかゆみ、充血、目の腫れなどがあり、特に多くの患者さんを悩ませるのがつらい目のかゆみです。アレルギーは外から入ってくる異物(花粉やハウスダストなど)に対して体が過剰に反応することで起こります。
アレルギー性結膜炎の原因と治療法
花粉などが原因で、特定の季節にのみ症状があらわれるものを季節性アレルギー性結膜炎といい、一年中症状がみられるものは、通年性アレルギー性結膜炎といいます。重症のものでは、子どもに多くみられる春季カタル、ソフトコンタクトレンズを使っている人にみられる巨大乳頭結膜炎などがあります。いずれも、症状に合わせた治療薬の選択と、適切な目の管理が必要となってきます。
アレルギーの原因(アレルゲン)には、スギやヒノキ、ブタクサなどの花粉、ある種のカビ、空気中のホコリ(ハウスダスト)、家の中のダニなど、さまざまなものがあります。呼吸器疾患や皮膚炎などと違って、目のアレルゲンを厳密に特定することは困難ですが、採血検査でアレルゲンが判明する場合もあります。
眼科で行われるアレルギー性結膜炎の治療は、薬を使って、日常生活に支障がないように、かゆみの症状を軽くすることやかゆみを起こさないようにする方法が中心となります。
まずは抗アレルギー薬を使い、それでも改善しない場合はステロイド点眼薬や最重症例では免疫抑制剤の点眼薬を使用します。
今回、新しい概念のアレルギー性結膜炎のお薬の登場
参天製薬から新しく発売された「アレジオン眼瞼クリーム0.5%」は、アレルギー性結膜炎治療に革新的な選択肢を提供する世界初の新しい薬だと思います。
「アレジオン眼瞼クリーム0.5%」は、エピナスチン塩酸塩を有効成分とする抗ヒスタミン作用のあるアレルギー治療薬で、当院で抗アレルギー点眼薬として一番信頼している目薬の1日2回点眼「アレジオンLX点眼液0.1%」と同じ有効成分を含有し、同様の効果が期待できます。
特徴は、今までのような目薬ではなく、世界初のまぶたに塗るクリームタイプのアレルギー性結膜炎治療薬ということです。
クリームを目のまわり(上下のまぶた)に塗ることで、有効成分がまぶたの皮膚から吸収され、目の結膜まで浸透し、つらい目のかゆみなどを治療するお薬です。
ライフスタイルや患者さんの背景によっては点眼薬より優れた特徴もあります。
1日1回塗るだけで薬の効果が24時間持続するので、夜寝る前にまぶたに塗れば、翌日の夜まで効果が持続しているので、日中に目薬をささなくても目がかゆくならないことが期待されます。なかなか朝の忙しい時間や日中の授業や仕事中などには点眼できないことも多いのではないでしょうか。
そんな方には1日1回寝る前に塗るこの薬は有用かもしれません。目の中に直接入れる薬ではないので、目の中に入れないように注意が必要ですが、特に目薬が苦手なお子様や高齢者、女性で目薬によるメイク崩れを心配している方などには使いやすい選択肢だと考えられます。
アレルギー性結膜炎は、他の増悪因子もケアする必要があります。
ドライアイがある人は、ヒアルロン酸や人工涙液などのドライアイの治療も併用します。コンタクトレンズを使っている人は、可能であれば1~2週間コンタクトレンズの使用をやめて、アレルギー性結膜炎の治療に専念します。
コンタクトレンズに付着している汚れや保存ケースの汚れが原因のこともあるので、レンズや保存ケースを新しいものに換えることをお勧めします。かゆみなどの自覚症状が点眼でも解消しない場合にはそういった原因を
一緒に考えていきますので気になることがあれば担当医に相談してください。